2018年の自身の事を歌った楽曲「ひかりもの」。当時のあいみょんは、どう感じながら曲を作っていたのか。なぜ”ひかりもの”なのか。
歌詞の意味を紐解きながら、当時のあいみょんの気持ちも含めて考察していきます。
目次
どんな曲?
まだ聴いたことがない人は…
まだ聴いたことがない人は、ぜひ一度実際の楽曲を聴いてから歌詞の意味をご覧ください!きっとあいみょんの世界観に引き込まれていくことでしょう。
出典:Raw Like Sushi
楽曲詳細
リリース日&収録
2019年2月13日発売 2ndアルバム「瞬間的シックスセンス」
曲の長さ
3:49(イントロ 0:13)
視点
あいみょん本人
タイアップ
–
テーマ
この曲のテーマは、「あいみょん自身の思い」です。
「自分は今だけ光っているもの」という意味であいみょん自身のことを”ひかりもの”と表現しています。いつ見限られるか分からない世界に身を置くあいみょんだからこそ感じた思いや葛藤が、赤裸々に表現されています。
歌詞の意味を深堀り!
ここからは、「ひかりもの」の歌詞について(部分的に区切っていきながら)迫っていきたいと思います。
だいたいのことでは傷ついてきた 〜
だいたいのことでは傷ついてきた
恋仕事生活家族や
捨ててしまいたいと悩む事ばかりだよ
繋ぎ止めたいと思うものばかりなんだよ
出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
「恋」「仕事」「日々の生活」「家族関係」、今までたくさんの事に傷つき悩んできた。こんな関係なら捨ててしまいたいと思いもした。でも結局、繋ぎ止めていたいと思うことばかりだった。
恋人や家族との縁、友人との縁、職場仲間との縁。いっそのこと切ってしまいたいと思う瞬間もあります。でも、なんとか繋ぎ止めたいと思う気持ちもある…そんな複雑な気持ちが表れています。
そりゃもっともっともっと〜
そりゃもっともっともっと 私の身体が
誰かにずっとぎゅっと 触れていたなら
出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
人は人が恋しくなるもの。辛いときや悲しい時は誰かのそばにいたいし、くっついていたい。もし、それが出来ていたらな…
心は優しくなれたかな〜
心は優しくなれたかな 身体は柔らかく温まって
はじめよう 新しい何かを今
つまらない事ではもう 泣かないぞ出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
たとえ傷ついたとしても、優しい心は持ち続けていたい。傷ついても立ち止まらずに、新しく何かを始めてみよう。小さなことで傷ついていられない。もうこんなことでは泣かないで、前に進んでやる!
橙色の空を眺めると少し〜
橙色の空を眺めると少し
胸の中に押し込んでいた思いが
防波堤を飛び越えて流れてくるよ
引く波に魂も吸い込まれ
出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
夕焼けの空を眺めていると、今まで抑えていた感情が溢れてきた。その感情に全てが持っていかれてしまいそう。
ただもっともっともっと〜
ただもっともっともっと 私の心が
大人であればいいの? 嘘つきはどっちだよ
出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
社会に出てると様々な事に傷つきます。大人になるということはこういうことなのかと感じる一方で「自分の心に嘘をついてまで、大人にならなければならないのか」という葛藤。
優しい笑顔の裏側に〜
優しい笑顔の裏側に
知りたくもなかった顔がある
忘れないぞ あの日の悔しさを
つまらない事ではもう 傷つかない
出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
大人は優しいふりをして、実はその裏側に隠した思惑があったりする。そんな思惑に騙されて、悔しい思いをしたこともあった。
でも、そんなつまらないことで傷つくことはもう辞めた。
表面ではいい顔をして、実は自分の都合のいいように人を騙す人って本当に最悪ですよね。あいみょんは、こういう経験もあるのでしょうか。実体験かは分かりませんが、おそらく似たような経験をしたのでしょう。
「つまらない事ではもう傷つかない」という強い言葉にウルっと来てしまいます…
私の心の弱点を〜
私の心の弱点を 知らずに平気な顔して
笑ってるから 泣きそうだな
もっと気の利いた言葉で慰めて
そうすれば少しは
出典:「ひかりもの」作詞あいみょん
”私の心の弱点を知らずに平気な顔しているヤツ”とは、先程の”優しい笑顔の裏側に知りたくもなかった顔をしているヤツ”でしょうか。
これを言ったら人は傷つくという事を考えずに、それを平気で言ってくる最低な人間。少しくらい優しい言葉で言ってくれればいいのに…そうすれば少しはこっちも優しくなれるのに…
この部分は皆さん、共感度MAXの部分ではないでしょうか。「そんなことよく平気で言えるな」って人いますよね。その言葉にどれだけ傷つけられたことか。
「忘れないぞ あの日の悔しさを」という歌詞がありますが、ホントにそれです。あの日のことはきっと、死ぬまで忘れないでしょう(何があった…)。
まとめ
良い意味でも悪い意味でも”ひかりもの”
2018年のあいみょんの思いを代弁するかのような楽曲。AIMにとっては非常に特別な歌なんじゃないでしょうか。聴く度に心がキュっとなる、少し切なくてそれでいて強い意志も感じられる不思議な曲です。
”ひかりもの”という、プラスにもマイナスにも捉える事ができるこの言葉の意味を、聴く度に考えされられます。
おまけ:あいみょんの言葉
(瞬間的シックスセンス)6曲目の“ひかりもの”は、自分のことを歌っているんですよ。「ひかりもの」は前向きな言葉っぽいですけど、私にとってはマイナスな言葉で。2018年、私は「ひかりもの」だったんです。
田舎とかに行くと、一番綺麗な星を見つけるのって簡単じゃないですか? それと一緒で、今一番光ってるものにみんなは視線をくれているだけで。私は今だけ光るものであって、視点をずらせばもっと光ってる星とか、いろんな色の星があるし、みんなすぐに隣の星座を見つけたりするだろうから、「今だけ」というのはすごく思っていましたね。
だから、注目していただいている時間を大事にしないとなって思います。みんなが離れていっちゃうという危機感はなくて。離れていくというのはきっと、時代の流れとか流行と一緒で。もちろん流行では終わりたくないから、残る音楽を作りたいとは思っているんですけど。
出典:CINRA.NET
私もスタッフもこの曲を作った時に、インディーズの頃の曲に近いっていう話をずっとしてたんですよ。そこで出てきたのは、『憎まれっ子世に憚る』の「19歳になりたくない」ですね。インディーズの頃に出してても全然おかしくないような曲なのに書いたのは2018年の頭。22歳の時に書いたのに、10代感がすごい曲です。
「ひかりもの」は、2018年に1発目に書いた曲なんです。珍しくすごく感情的になって書いた曲。それこそ感情的になって書くことは10代の頃に多かったんですよ。悲しくてとか、ムカついてとか感情的に書くことって最近あまりないんですけど。この時はすごく悲しくてムカつく衝動で書いた曲でもあって。
「ひかりもの」で書いていることは2018年の自分自身のことなんですよ。割と前向きな言葉に思うかもしれないんですけど、私にとってはすごいマイナス。マイナスというか自分自身、2018年はひかりものであるっていうのがあって……。例えで言うと、やっぱり1番光ってる星をみんな見つけやすいから見るだけで、すぐ別の星に目移りするじゃないですか。1番星見つけたって言ってもずっとその星を見てるわけじゃなくて。すぐその横にあるオリオン座やら色んな星を探しにいく。だからそういうものに今自分自身は近いと思ってて。今たくさんの方に曲を通して注目されてるかもしれないんですけど、それは今だけであってみたいな。
ただ安心できないとか、危機感があるとかそういうわけじゃなくて。今の状況がいつまで続くかわからないからこそやっぱり周りの人を大事にしないといけないとも思いましたし。当たり前のことをやらせてもらってるわけじゃないので、今に感謝しなきゃなと思いながらやってました。
大人になると、それまでに傷ついてきたこともいっぱいあって、ちょっとのことでは泣いたりしないかなと思ったんですけど、本当に小さい石ころみたいなものにつまずいて泣いたりすることもある。それがすごく人間的でいいなって思うんですけど、その時はただショックだったりもする。そういうことを色々考えてた時期ですね。
だから「2018年は、あいみょんさんにとってすごい飛躍の1年でしたね」とか「順風満帆ですね」とか言われることもあって有難かったですけど、私にとっての2018年は最悪から始まってるので。全然トントン拍子でもないですし、色々感じてたこともありました。「ひかりもの」を聴くと思い出しますね。まだムカついたりとかする。このやろーみたいな。
出典:Real Sound
インディーズの頃に出してても全然おかしくないような曲なのに書いたのは2018年の頭。22歳の時に書いたのに、10代感がすごい曲です。
出典:ぴあ