映画「恋愛奇譚集」のために書き下ろされた楽曲「漂白」。出会い~それぞれの過去、そして恋、そこで生まれる感情や絆をあいみょん独特の世界で綴ったラブソングです。
「漂白」の歌詞を完全に理解したいかたは、まず映画を観ることをオススメします!(とは言いつつ、なかなか出回っていない映画なので観るのは一苦労します…)
【ネタバレ注意】映画「恋愛奇譚集」の簡単なあらすじをご紹介します。
キャッチコピー「見えない彼女がくれた 消えない想い」
台湾からの留学生・ユーウェンは「感情は一瞬で変わるから、恋愛することは馬鹿馬鹿しい」と思っていた。思うように言葉が通じないもどかしさを抱えながら、ホームステイ先の古川酒造三代目・涼太や同じクラスの気になる男子・光孝とその彼女・香織たちと彼女は日々を過ごしていた。
ある日、彼女にしか見えていない赤いコートを着た謎の少女・ユリと出会うことで、心の内を話せる友達ができ、笑顔を取り戻していく。しかし、楽しい時間を共有していくと同時に、ユリと涼太そして東京から出戻ったワケあり娘・彩子との関係、そこに悲しい過去があることを知る。
ユリが幽霊だとわかったユーウェンはユリの心残りに唯一気づく。そして、不思議な絆で繋がっている二人は、大切な日に秘密の作戦を決行するが…
MVShort ver.では映画のシーンが観られるので、未視聴の方は必ずご覧ください!
出典:あいみょん -漂白【OFFICIAL MUSIC VIDEO(Short ver.)】
目次
どんな曲?
まだ聴いたことがない人は…
まだ聴いたことがない人は、ぜひ一度実際の楽曲を聴いてから歌詞の意味をご覧ください!きっとあいみょんの世界観に引き込まれていくことでしょう。
出典:YouTubeチャンネル「非洲酋长」(公式にフルバージョンがなかったので拝借しました)
楽曲詳細
リリース日&収録
2017年9月13日 発売 1stアルバム「青春のエキサイトメント」
曲の長さ
4:51(イントロ 0:00)
視点
ユーウェン(映画「恋愛奇譚集」の主人公)
タイアップ
映画『恋愛奇譚集』主題歌(書き下ろし)
テーマ
この曲のテーマは、「ユーウェンの思い出」です。
大人になって色々経験すると、10代のように純粋な気持ちで人を好きになれなくなってしまう。そももそ、愛とはなんなのか、愛されるとはどういうことなのか。また、愛とは年代によっても価値観が様々なものでもありますよね。そんな思いをユーウェンの記憶を通して描かれています。
本当の恋とは本当の愛とは何なのか、そんな事を考えさせられる楽曲です。
歌詞の意味を深堀り!
ここからは、「漂白」の歌詞について(部分的に区切っていきながら)迫っていきたいと思います。
10代のうちに人を何人愛せるかな〜
10代のうちに人を何人愛せるかな
私は今日も何かを求めてる
従来のようにシミひとつ残さずに
白く白く洗い流す 心を優しい泡で洗い流す出典:「漂白」作詞あいみょん
どこか本気で人を好きになれないでいる”私”。実態はよく分からないけれど私は見えない”何か”を求めている…
純真無垢だった当時のように、汚れ一つない気持ちに戻るために当時を思い出してみる。当時の健気な気持ちを思い出すことで、心が洗われていく…
あの人は今もあの子を忘れられず〜
あの人は今もあの子を忘れられず
白いお花を川に添える
小さな嘘で誰かを傷つけたり
人は必ず後悔する それでも恋をしたいと思う出典:「漂白」作詞あいみょん
「あの人」とは涼太、「あの子」はユリのこと。元々2人は恋人同士だったけれど、ユリは死んだしまった。しかし亮太はユリのことをずっと忘れられずにいる。
誰しも何気ない言葉や嘘で友達や恋人を傷つけてしまうことはある。そして、それをあとになって悔やんだりする。それでも、恋をしたいと思う気持ちは変わらない。
好きになって 嫌いになったり〜
好きになって 嫌いになったり
ヤキモチ焼いたり キスしたり
この街で少し愛することを覚えた出典:「漂白」作詞あいみょん
ここは、ユーウェンが日本での経験を回想しているシーン。「人を好きになったり、嫌いになったり、誰かにヤキモチを焼いたり、好きな人とキスしたり」愛するということがよく分からなかった少女は色々な経験を通して”愛する”ということに意味を少しずつ理解していく。
また会いにきてね〜
また会いにきてね
馬鹿馬鹿しいほどに私は恋をしていたわ
消えないでいてね
まだまだ知りたいことがあります出典:「漂白」作詞あいみょん
ユーウェンから涼太への気持ちが描かれる。
彼女は亮太の事を本当に好きになってしまった。(「消えないでいてね」とは、この想いが消えないでという意味でしょうか)まだまだ人を愛するということを完全に分かったわけではない彼女は、この想いを完全に理解するためにまだまだ知りたいことがある様子。
10回のうちに何回当たりがあるかな〜
10回のうちに何回当たりがあるかな
私は今日も何かを求めてる 心が優しい何かを求めてるあの子が好きだった赤いコートや 忘れられない出会った場所
この街が少し大切に思えたの出典:「漂白」作詞あいみょん
10回恋愛をしても、そのうち本当に好きな相手と出会えるのはそんなに多くはない。彼と離れた後も、いつも気がつくと何かを求めてしまっている。(「優しい何か」とは、人から愛される気持ち」でしょうか)彼女は愛し、愛される事を心のどこかで求めている。
「あの子」とは赤いコートを着たユリ。今や彼女との出会いは、少女にとって忘れられないものになっている。そして、ホームステイ先の街を何よりも”大切な場所”だと感じるようになっていた。
またここにきてね〜
またここにきてね ファインダー越しに見える
笑った顔が好きでした 私との秘密は
これからもずっと内緒ねあの日のようにそばにいたいのに
出会い別れてしまうでしょう
でもね、これはきっと奇跡なの
恋したこと キスの味 全てが物語(中略)
出典:「漂白」作詞あいみょん
ユーウェンが涼太との思い出を回想しているシーン。
彼の笑顔や共有した秘密を思い出している。
出会いがあれば別れもある。別れは悲しいものですが、出会えたことが奇跡。「恋したこと」「キスしたこと」全てが私の物語となって永遠に残っていく。
どうしようもなく心が汚れた日は〜
どうしようもなく心が汚れた日は
あの日を思い出して洗い流す
心を優しい泡で洗い流す出典:「漂白」作詞あいみょん
(ホームステイを終え)国に戻り日常の日々を過ごしていると、あの時に感じた純粋な思いや記憶はどんどん消えてしまう。そして、きれいな心を上書きするように汚れがどんどん溜まっていく。そんな時は、あの日の記憶を思い出して心を漂白してあげればいい。
「優しい泡」とは「当時、自分が感じた純粋で優しい記憶」のこと。この優しい泡で、汚れてしまった心をきれいに洗い流すのだ。
まとめ
ユーウェンの想い
(なかなか観るのが難しかったため)今回は映画を観ずに歌詞の考察を行ったのですが、正直とても難しかったです…映画が視聴でき次第、更新します!あいみょんの楽曲はドラマや映画の書き下ろしが非常に多いのですが、映画を観ていないと歌詞が完全に分からないというのも珍しい方なのでは?と思います。
映画を観た上で、改めてユーウェンの想いがどんなものだったのかを考察できれば「漂白」の深みも一層増していくことでしょう!
おまけ:あいみょんの言葉
(劇中の)主人公のユーウェン(ピピ)が、出会いや恋愛を台湾に持ち帰ったあとも、その時のことを思い出して、心が汚れた時に村のことを思い出して心を洗い流せたらいいな、という思いを込めてこのタイトルを付けました。
公開記念舞台挨拶にて
映画「恋愛奇譚集」の主題歌を書き下ろす事になり、私自身音楽の活動をしている上でいつか映画に関わりたいな。と思っていたので、倉本監督に声をかけて頂いて本当に嬉しかったです。慣れない街、言葉、新しい出会い、過去、それぞれの恋。一つの物語の中にいくつものストーリーがあって心が少しむず痒くなる。「漂白」という曲は主人公であるユーウェンをそのまま音に乗せたような楽曲です。じっくり聴いてほしいです。
出典:SPICE
台湾から来た留学生の、その子の歌というか、その子の視点になって。最初に出てきた言葉が”10代のうちに人を何人愛せるかな”って言葉やったんですけど、客観的に自分で歌詞を書いてて、あ、自分はどんだけやったかな? と思ったりしたんです。10代と20代の恋愛観はまったく違ってくるじゃないですか? 10代のときの人を愛することっていうのは何なのかな? っていう。20代からはもう”大好きです”ってことかな、10代のころは何を愛するって思うんかな? ってそのへんをわーっと(笑)。
結局いろんなことがあったけど、楽しかったあの日を思い出せば、まぁ大丈夫でしょという感じですね、この曲は。この主人公の子も日本に来て、台湾に帰っちゃうんですけど、日本での恋愛やったり、好きな人ができたことやったりとか、人間関係を思い出せば、あっちでも大丈夫でしょっていうメッセージ性を込めてます。
(自分が真実だと思えた経験が漂白してくれる?)私は今でいうと家族の存在があるからすべて嫌なことも洗い流せるなって思えるので。人は素敵な経験があるかないかで、心の汚れとか全然変わってくると思うんですよね。
出典:skream!