上京後のあいみょん自身の心の叫びを男性目線で歌詞にした「風のささやき」。タイトルは非常に優しい印象を受けますが、この曲にはかなり強めの思いが込められています。
一つ一つのフレーズに着目して、一体どんな思いを込めた歌詞なのか深堀りをしていきたいと思います!
目次
どんな曲?
まだ聴いたことがない人は…
まだ聴いたことがない人は、ぜひ一度実際の楽曲を聴いてから歌詞の意味をご覧ください!きっとあいみょんの世界観に引き込まれていくことでしょう。
出典:Kaze No Sasayaki
楽曲詳細
リリース日&収録
2018年11月14日 発売 6thシングル「今夜このまま」カップリング曲
2017年9月13日 発売 1stアルバム「青春のエキサイトメント」
曲の長さ
3:53(イントロ 0:00)
視点
男性
タイアップ
–
テーマ
この曲のテーマは、「自分の居場所」です。
思春期から大人になる過程で、都会という不慣れな場所で様々な大人に出会い、”夢を追い続けている人間の苦悩”をダイレクトに歌詞に乗せた楽曲です。
歌詞の意味を深堀り!
ここからは、「風のささやき」の歌詞について(部分的に区切っていきながら)迫っていきたいと思います。
このまま朝が来なけりゃいいのに〜
このまま朝が来なけりゃいいのに
うずくまってる真っ暗な布団の中で
またあいつとあいつをぶん殴ってやったそれでも変わらない生活に
一生のお願いとか使えたなら
この先を僕じゃない誰かに変えて出典:「風のささやき」作詞あいみょん
ぶん殴ってやりたい相手を思いながら布団に包まっている男性。このまま朝が来なければいいのに…そう感じてしまうほど、彼は思いつめて悩んでいる。
しかし、そんな風に思っていても生活が変わるわけでもない。こんな時”一生のお願い”がもし使えるのなら自分ではない誰かに変えて欲しい。
適当に買ったコンパス〜
適当に買ったコンパス 眺めるだけの時間
聞いたことのない名前のタバコをふかす散歩に行くのも命がけだな
ああ 今日は泣いてみようかな出典:「風のささやき」作詞あいみょん
コンパスとは、”人生の進むべき方向を知るための道標”の事を例えています。適当に買ったという表現で「何も考えずに適当に決めてしまった人生のレールをただ何も考えず進んでいる」という事を暗示しています。自分が吸っているタバコの銘柄もわからない程に、無気力になっている。
外に出るだけでも一苦労。それほどにメンタルは追い込まれている。今日くらいは泣いてもいいよね。
風のささやき 耳障りだ〜
風のささやき 耳障りだ
僕のことなんも知らないくせに
ふざけんな ティファニーブルーの空の下
追い続けている馬鹿な夢
手に届きそうで届かないなあ出典:「風のささやき」作詞あいみょん
自分のことを何も知らないくせに、知ったような口をきくな。そんな言葉は耳障りだ「なめてんじゃねー、ふざけんな」。
青空の下、叶わない夢を追いかけ続けている自分。どこかで馬鹿な夢を見てしまったと、諦めかけている。
↓ティファニーブルー ※出典:TIFFANY&CO.
いつの日も 夢はあるかあるかと〜
いつの日も 夢はあるかあるかと
問う髭もじゃがいるし
邪魔くさくても触れる事ができない現実があって
タイムカードはこんなに真っ黒に埋まってんのに
今日もポケットの中は紙クズ銅メダル出典:「風のささやき」作詞あいみょん
小さい頃も、大人になった後も「夢はありますか?」とか「夢は持ちなさい」とかずっと言われ続けてきた。
アルバイトのタイムカードはこんなにシフトで埋まっているのに、お金は一向にたまらない。ポケットの中は小銭とレシートの山だ。
真面目なふりしたドクター〜
真面目なふりしたドクター 聞き飽きた台詞ばかり
震えそうな手を握り しつこく僕に言う
「何かあればまたおいでよ」 結局そんなもんなんだな出典:「風のささやき」作詞あいみょん
大人は結局、親身になって自分の人生を考えてくれるわけじゃない。真面目そうに見える医者だって「何かあればまたおいで」と、聞き飽きた台詞を言うばかり。他人なんて結局なにもしてくれない。
雲は流れる 足早にね〜
雲は流れる 足早にね
僕のことまるで知ってるように笑うなよ
頑張れなんて言うなよ クソが
死に物狂いで生きてんだ
そう簡単に言わないでおくれ(中略)
出典:「風のささやき」作詞あいみょん
「雲は流れる 足早にね 」とは、都心の人々が足早に歩いている様を比喩しているのでしょうか。自分のことを置いていくように、足早に過ぎ去っていく人々。
「そんな夢叶うわけない」「現実を知ったほうが良い」とか、自分のことを何も知らないくせにあざ笑っていく人もいた。
必死にもがいて頑張っているのに「頑張れよ」なんていう人もいた。
「何も知らないくせにそんなこと言ってくれるな、クソが。こっちは死にものぐるいで生きてんだ。そんな簡単に”頑張れ”なんて言わないでくれ」
もう少しだけ頑張ってみるさ〜
もう少しだけ頑張ってみるさ
僕の居場所はどこだい出典:「風のささやき」作詞あいみょん
とは言うものの”もう少しだけ頑張ろう”と心に決めた主人公。この先、自分の進む先に自分の居場所は見つかるのでしょうか。自分の居場所を探す旅は、まだまだ続きます。
まとめ
「孤独・葛藤・不安」全てを乗り越えた先に
何かにチャレンジをするときって、すごく不安になります。このやり方で果たして合っているのか。周りから変な目で見られないだろうか。自分には成功するような才能はないんじゃないか。色んな思いが自分を襲います。
前進するということは、常にチャレンジをし続けるということ。そしてチャレンジは常に「孤独・葛藤・不安」が同居しています。これらの感情を克服できたときこそ、自分の本当の居場所が見つかるのではないかと思います。
おまけ:あいみょんの言葉
これも上京したての「いつまでも」と同じ時期ぐらいで、言ってることは一緒ですね。今の音楽に対してとか。メジャー・デビューするから上京するっていうのを地元の人に言うと、すごくキラキラした世界に思われるじゃないですか。でも実際は違って、バタバタしててもお金が入ってくるわけでもないしとか、生活はそんな楽じゃないし、すごく嫌やな、実家に帰りたいなとか(笑)。
期待もされてるし、プレッシャーの中で曲作りはしなきゃダメだし。まぁ、義務的なものではないけど。でも、期待に応えたくて曲作りを頑張るっていうのもあって。で、当時は”頑張れ”って言われるのがめっちゃ嫌やった時期。”なんで頑張れとか言うん?”と思ってました。だから私も、今は普通に言うんですけど、そのときは”頑張れ”って言葉、人に対して使わなくなりました。自分が言われて嫌やったんで、”楽しんで”って言い方に変えましたね。最後には”もう少しだけ頑張ってみるさ”とは言ってるんですけど。まぁ、この歌詞のとおりです。
出典:SKREAM!
「音楽を頑張れって言われることに関して、やっぱり違和感があったんですよね。当時は『音楽は頑張るもんじゃない』って思ったし、今でもそれは若干思ってますね。やっぱり音楽=職業って思うのが嫌なんですよ。自分では楽しくて『やらせてもらってる側』だと思っているので。それを仕事って捉えてしまうと『やらされてる感』に囚われてしまいそうで。『頑張る』って言うより『楽しんでみんなのためにやってます』って言うほうがいいなあって思ってて。もちろん職業なんですけどね、ミュージシャンとかアーティストとかって。でもそれを100%仕事、職業というふうには捉えたくないんです」